01 研究紹介

各研究プロジェクトの概要を示します.

気液界面の温度差・濃度差によるマランゴニ対流を駆動源とする医療用微細泳動エンジン

 

  • 本研究は,生体内で治療や薬剤運搬を行うマイクロロボットの新たな駆動機構を創出するために,気液界面上の温度・濃度分布によって起きるマランゴニ対流を用いた,液中を泳動するための微細なエンジン (大きさ数十μm 程度、以下ではマランゴニエンジンと呼ぶ) の開発を目的とする.
  • マランゴニエンジンは,気液界面を構造体表面に保持し,その界面に温度 (濃度) 分布を発生させる機構をもつ微細なデバイスで,水中に浸漬することで表面張力の不均一によるマランゴニ対流が誘起され,対流の反動で遊泳する.
  • 研究では,実験と数値計算の両側面でデバイス周りの流れ場と推進力を計測・予測し、生体内での応用を見据え駆動手法の探索や生体内安定性などに関する検討も行う.

 

閉塞空間内沸騰

 

  • 本研究は,火力原子力発電・製鉄・電子冷却における高熱流束除熱を背景に,高熱流束沸騰の特徴である気泡合体によって現れる液膜構造と除熱メカニズムを解明することを目的とする.
  • 具体的には,MEMS 技術を用いて伝熱面上に合体沸騰気泡の最小単位(隣り合う2つの気泡の合体)を実 現し,液膜構造の直接観察と伝熱面温度分布の時間変化を計測する.

 

マイクロギャップ内沸騰

 

  • 本研究では,沸騰による小型電子素子の冷却を背景として,電子素子を模擬した 10 mm 角程度の薄板を伝熱面とした流動沸騰実験を行う.
  • 薄板は熱容量が小さいため,沸騰気泡の発生による局所的・ 瞬間的な除熱は伝熱面上に大きな温度差(空間分布・時間変化)を生む.
  • 電子素子の動作可能温度を「常に」「至るところ」で保証するためには,どのような冷却条件が必要であるか?を,実験的に探索することを目的とする.
  • 具体的には,MEMS 薄膜ヒータによって電子素子を模擬した薄板を通電加熱し, PIV+感温粒子による流体側の流れ場・温度場同時測定と壁面側の温度分布測定を行う.

マイクロチャネル内圧力損失計測

 

  • 本研究は,沸騰現象を用いた電子素子冷却などの応用上で問題となるマイクロチャネル内部の沸騰気泡の充満と圧力損失の増大を背景とし,気泡の動的挙動が圧力損失に与える影響を詳細に解明することを目的とする.
  • 具体的には,MEMS 技術を用いて,内部に多数の微細な圧力センサを持つマイクロチャネル製作する.
  • その圧力センサによって流れ方向の圧力分布およびその時間的 変化を計測し,同時に高速度カメラを用いて気泡成長及び形状変化を観察することで,局所的な 圧力勾配と気泡の動的挙動との間に定量的な相関を見出し,既存の圧力損失モデルの妥当性を検
    証することによりマイクロチャネル全体の圧力損失を見積もることのできるような知見を得る.